富山の家族の暮らしを繋ぐフリーマガジン「Lien(リアン)」

トランプ大統領のアメリカとどう付き合うか

「世紀の嫌われ者対決」といわれたアメリカ大統領選挙も、ついにドナルド・トランプ候補が戦いを制した。「あり得ない」と言われ続けながら勝ち進むトランプ氏に、不思議な風が吹き続けたことで、その「あり得ない」が現実のものになった。民主主義の正規の手続を踏んで選出された大統領であるから、日本としては、新大統領とどのような関係を構築できるかを模索しなくてはならない。

ところが、これまでトランプ氏は「日本車に35パーセントの関税をかけてやる」「日米安保は不平等だ」「日本は在日米軍の駐留経費を払え」などなど、散々なことを言い散らかしてきたため、今後の日米関係を危惧する人も多い。しかし、トランプ氏の勝利演説は、過激な言質を封印し、至極まともな内容だったため「もしや、まともな大統領になるのでは?」との観測が広がり、ニューヨークでは株も為替も急騰した。一体これまでの選挙は何だったのかという疑問もあるが、ポピュリズム民主主義とはそういうものなのかもしれない。これまでトランプ批判をしていた日本の識者が、こぞってトランプ待望論を語っているのも実に滑稽である。

では、そんな新時代のアメリカと日本は、将来どのようになっていくのであろうか。確実にいえるのは、アメリカの「内向き指向」は今後もエスカレートするということ。「内向き指向」とは、アメリカが他国のいざこざに関係したくないという指向のことで、オバマ政権が世界の警察を降りると明言したことと関係する。かつてアメリカは、世界の警察として、戦争や紛争が起きるたびに首を突っ込んできた。そんなアメリカは、イラク戦争に疲弊したことで、国の方針を大転換させたように見える。米軍のイラクからの撤退を公約にして選挙で勝利を収めたのが、他ならぬオバマ大統領だった。オバマ大統領はイラクからの撤退を実行したが、その軍事的空白で成立したのが「イスラム国」(IS)だった。ISはサダム・フセイン軍残党である。

しかし、世界の警察から降りたアメリカは、もはやISと対峙する余裕はなく、イラク軍を間接的に支援する程度。ロシアがクリミア半島を制圧した時も、中国が南シナ海に軍事基地を建設した時も、オバマ政権は口先で非難するだけで軍を動かすことはなく、「力による現状変更」が許されてしまった。この路線を確実に引き継いでいくのがトランプ大統領なのである。日本はそのような内向きなアメリカとどう連携していくことができるだろうか。
まず、私たちはこれまでのような、アメリカ依存の思考を改めなくてはいけない。「日本の安全は日本が守る」という考えに立ち、その上でアメリカの支援を得られれば「なお良い」という状況を作らなくてはならない。いざという時にアメリカが期待通りの支援をしてくれなければ、日本は滅びてしまうからだ。

そして次に、世界の秩序を作るのはアメリカでなくなったという現実を、我々は受け止めなければいけない。かといって、国連はアメリカの代わりにはなれない。「力による現状変更」をした中国とロシアが常任理事国に入っているからだ。これから世界の秩序を作るのは先進七ヶ国(G7)でなくてはならず、その上で日本は重要な役割を果たさなくてはならない。

とはいえ、アメリカが世界最大の経済大国であり、軍事大国であるという事実も揺るがないし、日米関係が世界平和の礎であることも変わらない。日本は、内向きのアメリカとしっかりと向き合っていかなくてはならないのである。


つねづねなるスナップショット

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富山市内の韓国料理店『汝矣島』にて。


第17回富山竹田研究会特別講義

竹田恒泰先生の特別講義『第16回富山竹田研究会』が富山能楽堂で開催される。毎回違ったお題で「日本を楽しく学べる」この講義。今回のお題は「怨霊になった天皇」と「古事記名場面集」。明治天皇の玄孫の竹田恒泰先生ならではの講義は、日本の歴史や古事記のことを知らなくても楽しめること間違いなし!まだ参加したことがないという人にはぜひとも参加してもらいたい。学生は無料なのでこの機会にぜひ!まずは「竹田研究会」で検索を!

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場所:射水神社(高岡古城公園内)
日時:12月4日(日) 13:00~15:30(開場12:00)
料金:会員¥2,000、非会員¥3,000(初参加の方は¥2,000)、学生無料※社会人学生は除く、要学生証
講師:竹田恒泰
参加申し込み:WEBの申し込みフォームまたはメールにて
問い合わせ:富山竹田研究会事務局 TEL.076-456-3595
http://www.takedaken.org/
e-mail:toyama@takedaken.org


竹田恒泰の富山チャンネル

FMとやま(82.7MHZ)で毎週日曜8:40~8:55 絶賛放送中!

【放送内容(予定)】
12/11 年末の大掃除
12/18 天皇誕生日
12/25 日本人にとってのクリスマス
1/1   正月はなぜめでたいか
1/8  成人の日
1/15 参拝作法(祓えことば)
1/22 合格祈願について
1/29 天皇の昼ごはんはなぜ毎日鯛なのか


今号の1冊

百田尚樹『カエルの楽園』(新潮社)

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いまやこの本は「予言の書」といわれている。日本の置かれている状況をカエルの楽園に例えて描写していて、最後は悲痛な結末に辿り着く。本書が発売されてから、この本が暗示するとおりの道筋を辿っていることに危機感を覚える読者は多い。


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竹田 恒泰(たけだ つねやす)

作家。昭和50年(1975年)、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫にあたる。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。平成18年(2006年)『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)で第15回山本七平賞を受賞。『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』『現代語古事記』など多数の著書を上梓している。また、全国17ヶ所で開催している「竹田研究会」を含め、年間200本以上の講演を行っている。

竹田恒泰公式サイト『竹の間』
http://www.takenoma.com/

竹田研究会とは

竹田恒泰先生の講義を通して「日本を楽しく学ぶ」勉強会です。これまで、国史・日本神話・憲法をはじめ、時事問題や日本の伝統、皇室にかかわる数多くの講義を提供してきました。竹田恒泰先生の講義はわかりやすいだけでなく愉快で教室はいつも笑いが絶えません。

竹田研究会
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