富山の家族の暮らしを繋ぐフリーマガジン「Lien(リアン)」

天皇陛下の御言葉をどう受け止めたらいいの?

八月八日に天皇陛下がビデオメッセージで御言葉を発せられました。これを受けて政府は、皇室制度全般を議論せずに譲位に焦点を絞り、特措法(特別措置法)で譲位への道を開く方針です。この御言葉の骨子は次の部分に現われていると思います。

「既に八十を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」

つまり、今後生じるであろう問題を、事前に国民にお示しになったのです。ところが、その解決方法は具体的には言及なさいませんでした。しかし、御言葉の中に、摂政では解決にならず、公務を限りなく削減するのも無理であるとのご指摘もあったため、譲位への御意向が強く滲む内容であったといえます。長年国民のために尽くしていらっしゃった天皇陛下のお姿を知っている私たち国民は、この御言葉に強い感銘を受け、改めて陛下の責任感の重さを知った次第です。天皇陛下が、とても真面目なご性格であられることはよく知られています。これまで宮内庁が御公務の削減しようとしても、陛下がそれに難色をお示しになり、最低限の削減しかお許しにならなかったそうです。そのようなお考えであるなら「できるところまではしっかりやるが、できなくなったら次の者に譲りたい」との御意向は、万人の共感するところではないでしょうか。

しかし、昭和天皇の晩年のことも思い出してもらいたいと思います。昭和天皇は長期間に及ぶ闘病生活の末、崩御となりました。闘病中、内閣の書類をご覧になることもなければ、宮中祭祀や行事にお出ましになることもありませんでした。しかし、中学生だった私は「一分一秒でも長く命を繋いで欲しい」と祈っていましたし、国民の大半は同じ思いだったでしょう。あの時「これじゃ象徴天皇として機能していないじゃないか。早く替わってもらったらどうだ」などと発言した識者はいませんでしたし、そのような言論は存在すらしていませんでした。それでも、譲位はおろか、摂政すら置かれることもありませんでした。昭和天皇は、病床にいらしても、国民からしたら正真正銘の「天皇」であり、確かに「象徴天皇」として機能していたのです。これも一つの象徴天皇の姿であると思うと、いったい私たちはどのように理解したらよいのでしょう。昭和天皇と現在の陛下では「象徴」についてのお考えが異なっているように思えます。しかし、どちらが正しいということではなく、両方とも正しいのではないでしょうか。天皇の本質とは「祈る存在」です。昭和天皇は病床で祈り続けていらっしゃったことが分かっているし、当時の国民もそう信じていたのであるから、天皇として本質的には瑕疵はなかったと考えるのは当然のことです。

私は、譲位の御意向が強く滲む陛下の御言葉を受けた以上、政府が立てた方針に従い、特措法によって速やかに譲位を可能にし、陛下を悩ます雲を取り払わなくてはいけないと考えています。しかし、本当は寂しい気持ちもあります。「平成」が終わることも寂しいし、もうお辞めになってしまうというのも何とも悲しいものです。そのように思うことも自然なことではないでしょうか。
陛下が仰ったのだからと、反対意見を封じるのではなく、国民の多くが漠然と感じている「寂しさ」「悲しさ」も含めて、衆議を尽くすべきではないかと思います。それでこそ明治天皇の発せられた「五箇条の御誓文」の趣旨にも合致するのです。


つねづねなるスナップショット

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美味しそうな鮎の塩焼きと甘唐辛子。
富山市内の某料理屋さんにて。


第17回富山竹田研究会特別講義

竹田恒泰先生の特別講義『第16回富山竹田研究会』が富山能楽堂で開催される。毎回違ったお題で「日本を楽しく学べる」この講義。今回のお題は「怨霊になった天皇」と「古事記名場面集」。明治天皇の玄孫の竹田恒泰先生ならではの講義は、日本の歴史や古事記のことを知らなくても楽しめること間違いなし!まだ参加したことがないという人にはぜひとも参加してもらいたい。学生は無料なのでこの機会にぜひ!まずは「竹田研究会」で検索を!

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場所:射水神社(高岡古城公園内)
日時:12月4日(日) 13:00~15:30(開場12:00)
料金:会員¥2,000、非会員¥3,000(初参加の方は¥2,000)、学生無料※社会人学生は除く、要学生証
講師:竹田恒泰
参加申し込み:WEBの申し込みフォームまたはメールにて
問い合わせ:富山竹田研究会事務局 TEL.076-456-3595
http://www.takedaken.org/
e-mail:toyama@takedaken.org


竹田恒泰の富山チャンネル

FMとやま(82.7MHZ)で毎週日曜8:40~8:55 絶賛放送中!

◆放送内容(予定)
10/9  体育の日について
10/16 神嘗祭について
10/23 神社参拝の作法3 ~お賽銭について~
10/30 神主になること(対談)
11/6  読書
11/13 神社参拝の作法4 ~神社で何を祈るか~
11/20 新嘗祭について
11/27  祭り主としての天皇


今号の1冊

谷部金次郎『天皇陛下料理番の和のレシピ』(幻冬舎)

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著者は以前ドラマ「天皇の料理番」で知られるようになった秋山徳蔵氏の弟子。宮中で二十六年、昭和天皇と香淳皇后のお食事を作り続けた方です。宮中の秘話だけでなく、レシピを余すところなく知ることができる一冊。


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竹田 恒泰(たけだ つねやす)

作家。昭和50年(1975年)、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫にあたる。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。平成18年(2006年)『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)で第15回山本七平賞を受賞。『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』『現代語古事記』など多数の著書を上梓している。また、全国17ヶ所で開催している「竹田研究会」を含め、年間200本以上の講演を行っている。

竹田恒泰公式サイト『竹の間』
http://www.takenoma.com/

竹田研究会とは

竹田恒泰先生の講義を通して「日本を楽しく学ぶ」勉強会です。これまで、国史・日本神話・憲法をはじめ、時事問題や日本の伝統、皇室にかかわる数多くの講義を提供してきました。竹田恒泰先生の講義はわかりやすいだけでなく愉快で教室はいつも笑いが絶えません。

竹田研究会
http://www.takedaken.org/

5月号

3月30日発刊

※電子雑誌版は現在準備中です。